PART ONE 1
夕食の後、僕は、カティナトゥ街を見渡す僕の部屋で、パイルを座って待っていた:彼は言った、「僕は、遅くても10時までには貴方と合流するつもりです、」そして真夜中が打った時、僕はそれ以上じっとしていられなくて、通りに下りた。成田悦子訳
After dinner I sat and wated for Pyle in my room over the Catinat: he had said, I’ll be with you at least by ten,’ and when midnight struck I couldn’t stay quiet any longer and went down into the street.
早川書房日本語版翻訳権独占2004
訳者田中西二郎(東京商大卒)
発行者早川浩
夕食後、カティナ街の自分の部屋で、おれはパイルの来るのを待った。「おそくも十時には来る」といったのに、十二時が打っても姿をあらわさないので、もう落ち着いていられなくなったおれは、階下へ降りて往来へ出た。田中西二郎訳
田中さんはCatinatカティナ。私も随分Netのベトナム人の発音を聞いてみた。ベトナムに知人はいないから、絶体だとは言わないが、カティナトゥのtの発音が、アクセントのあるCa部分が強く発音され、次の単語に移る際、消えているのではないかと思った。カティナトゥと言っている人もいるにはいた。
私の翻訳時の考え方の一つに、名前、地名、外来語等は、英語の発音を調べてその発音に最高に近いカタカナを当てようというのがある。トと書かずにトゥと書く。朗読をした時にまるで英国人の気分になれる。英国コンプレックスからじゃない。原作者の:;は、そのまま使う事にしている。句読点も極力そのままにしたい。
in my room over the Catinat:のoverをどう訳そうか、私も迷った。彼の部屋は一階ではない、カティナトゥ通り、或いは、街が見渡せるはずだ。田中さんはこの単語は訳していない。読者に語り手の位置を知って貰う事は、大切。訳す私自身も彼の立ち位置を知る事で、半分は訳せたような気になれる。何処にいるのかが分からない場合、全くどうしていいか分からなくなる。訳す私は、今この本を手に取る貴方と全く同じ。
went down into the street.田中さんは「階下へ降りて往来へ出た」階下という単語はない。多くの翻訳者は付け足す。私は付け足さずに考える。ここは訳すのも簡単だし、大した付け足しでもない、が、これをやってしまうと、自分が書いたことになる。創作である。
私は、私の知らない場所で、私の知らない時代に、私の知らない人がどう考え、どう生きたか知りたい、まるで恋人の行方でも探している誰かにその人の事を伝えるように、そのままをそのまま伝えたい、伝えてくれるわ、きっとと思いながら粘り強く訳す。だからそのままを貴方にも伝えたい。私自身は目立つ女だとしても、私は、Graham Greeneと読者の間に立ちはだかりたくない、すっかり消えていなくなるぐらいがいい。
コメントを残す