I already had a strong instinct against drawing-room activities. 買って直ぐ岩波の文庫本に目を通した時instinctを「反感」と訳してあったのを覚えている。その前に今にもばらけそうな原書は購入してあった。私は少しだけ目を通した。目を通しただけで分かるほど楽な本ではなかった。見た事のない単語が多い、古い本だからだろう。稀にしか用いない単語が行く手を阻む。instinctは私が訳した三冊の小説にも出て来た。一般的には「本能」という意味。「本能」とはどういう意味か、「強い本能を持つ」?「本能」とは生まれつき持っているものなのに?「強い反感を持つ」と工藤政司は訳しているから「反感」という意味が辞書にあるかどうか調べた。
辞書は何冊かあるが、普段使うのは簡単なもの。余計な意味を付け加えてない、中学生並みの辞書。本質的な意味を考えるために使っている。もう一冊は細かい文字で、その辞書の2倍以上の厚さ、大きさも少し大き目。夫が残してくれた岩波の大辞典も持っている。これは私が好きな本質的な意味、言葉がたくさん載っているが、英単語一つにたくさん意味があるというところに疑問を感じてから使っていない。それ以上に、詩を何年か訳している内にボロボロになったので買い替えたが、内容がすっかり変わっていたので使わなくなった。前の辞書のままだったらあの大きな辞書を今でも使っていたのにと残念に思う。
私は二冊の辞書だけ調べた。「反感」という意味はなかった。辞書会社と翻訳家が組めば、実際、意味なんか幾つでも増やせる。前の文章を考えると「反感」も悪くないと思う。しかし後の文章を考えると「衝動」はどうだろう。「衝動」とは無意識的な行動、無意識下で、人は何に動かされるか?「本能」が人を動かす。
私は、「僕は既に強烈な衝動を覚えて・・・」と訳した。辞書にも「衝動」の意味はあった。辞書にないからと言って自分が間違っていると考える必要もないんだと岩波の誰かが言っていたが、私は、「そうだよな」と思ってはいる。貴方が少しだけ意地悪の合間に教えてくれた事は役に立っています。
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