翻訳How To本が多く出ている。さっき見た本は、12700円、Amazonで売っていた。私が今訳しているRobert Gravesの本で日本語になっているものがあるが、5000円近くの値段。私は貧しいが、誰も彼もお金持ちなのかしら?と思う。Good-bye to All Thatの岩波の文庫本は300円から500円くらいで買える。品薄で少し高い。正価が幾らかは知らない。本の値段は、出版社の思い通りにはならない。
翻訳家はたくさん仕事があって儲かりそうと思うかと言えば私は儲からないだろうなと思う。「AIで生成」して少し手直し、Netの翻訳関連に書き込むアルバイトもして、とはいえ文章は、誰にでも容易には書けない。役所のお知らせじゃない。英文科を出ても仕事はない、それなのにどっと押し掛ける。大学はあり過ぎるのに文部科学省は未だ認可を止めない。
英文科を出たのにという人を大量生産すると翻訳How To本が売れるのだろう。その考え方でやっているのに出版社は斜陽の日々に留まったまま。Amazonは世界中の本を出版し、世界中の本を均一化してしまう。それでも私は安物地獄に落ちて行きたい。
私は誰も聞いたことのない人の開いたことのない本を訳す。岩波という言葉も懐かしい。子供達は岩波の子供の本で育った。夫が全て買って来て私に渡した。松田道夫の「育児の百科」を隅から隅まで参考にして育てた。本は使い古して夫の妹にあげた。きっといらなかっただろうと思う。本屋にいた彼女は新しい松田道夫の「育児の百科」を持って来て私に見せた。私は何時だって時代遅れの幻や夢を生きたがる。
時代は移り変わり、私が思う子供の理想形はもう私の子供自身が破壊に継ぐ破壊をし尽くし、私は母親として生きる必要など全くなくなった。それは寂しいことではない。私自身の道を行けばいいだけ。世の中などもっと前に理想の子供の姿をすっかり歪めてしまった。
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