さよならに一度死なずに耐えたら、
二度目は「耐えられないの」と言って
毎秒毎分毎時間一日二日三日四日と声に出して数えて
しまいに数えているのが皿か何か分からなくなるまで
耐えてみるといいわ、
二度目も死のうなんて誰が思う?
彼はそうやって女を水辺に誘っては死に向かって全速力で走らせる
「走れメロス」なんて書いてるくせに
三度目には鏡に映した私にさよならと言う
貴方のさよならを待てない
さよならを先に言った方が勝ちゲイム
それを今更、恋愛なんて誰が思う?
会うことも別れることもない
願いも黙して見守ることもない
四度目にはさよならを言う相手がいない
さよならという言葉は大好きになっていたのに
鏡に向かって私に言う
「さよなら」
詩を書いてあの日、寝室の絨毯の中に隠そうとして裁縫用の物差しでベッドの足下まで押し込んだ。1

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