さよならが

私は中学一年、部活を楽しみにしていた。私は母が白砂(しらすな)小学校のPTAでやっていたバレーボール部に入った。転校生のようなものだから、誰かと一緒に入ったんじゃない。私はバレーボールをしようと思った。母がすることは何故か私もしたかった。母は白砂小学校でバレーボールをするのを楽しみにしていた。母は冬の間の味噌汁給食に交代で駆り出されることとバレーボールの練習をすることだけがきっと生きがいのようなものだった。母は学芸会でPTAの出し物として白虎隊を踊った。私も母の後を追って白虎隊を踊る3人の一人に選ばれた。練習をする私にいろいろ教えてくれた。私はできなくても教えてくれる母は好きだった。毎朝「悦ちゃん、学校に遅れるよ。」「早く、早く、」と急かされてはいたが。

私はドッジボールが怖かった。仲良くしている友達が私目掛けて大きなボールを投げる。私は受け取ることを考えなかった。手が痛くなるほど、受け止めると胸の骨が折れるかと思うほど勢いがあるんだもの。私はただただ逃げた。もしぶつけられてコートから出てももうコートには戻りたくなかった。私にパスを回す子はいなかった。私は一刻も早くドッジボールが終わることを願った。ぶつけられないように逃げ回ると最後に一人コートの中に残って総攻撃に遭う。それも怖かった。適度に逃げ回り、後は闘っているような感じでさえいればいいんだと思った。あんな怖いゲームはもうしたくない。バレーボールだって一緒なのに、私はバレーボールをしようと決めた。50